原状回復費用の負担と範囲

敷金返還時に求められる原状回復とは、部屋を借りた当初の状態に戻すわけではありません。

不注意で物件を傷つけてしまった、故意に部屋を汚したと言った場合では当然借主が修繕費を負担します。しかし普通に暮していただけで損耗してしまった部分、経年による自然損耗に対する修繕費用は月々の賃料に含まれるものです。借主に現像回復義務はなく、それらは貸主が負担するものとなります。

原状回復義務については、国土交通省から「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」という指標が出されています。このガイドラインを基準として考えます。しかし、この指標はあくまで目安です。法的拘束力はありません。貸主借主の双方でこのガイドラインとは別の特約を定めた場合、原則そちらが有効となります。

■借主が原状回復費用として負担するもの

1.引越し作業でついたキズ(→引越し業者に請求できます)

2.不注意によるフローリングの色落ち

3.キャスター付のイス等によるフローリングのキズやへこみ

4.壁の下地ボードの張替えが必要な程大きなクギ穴やネジ穴

5.ペットを飼育したことによる柱、床などのキズ

6.タバコのヤニや飲み物をこぼしたことによるカーペットのシミ及びカビ

7.日常の手入れを怠ったことにより発生した壁や浴室等のカビ

8.使用後の手入れが悪くて取れなくなった台所の油汚れ

9.鍵の紛失

■ 借主が原状回復費用として負担しなくてよいもの

1. 畳の日焼け

2. 壁、床、天井の通常の汚れ

3. 電化製品の設置跡

4. テレビ、冷蔵庫などの後部壁面(クロス)の黒ずみ

■ 費用の負担割合

原状回復費用の負担割合については、国土交通省のガイドラインでは「原状回復は、毀損部分の復旧であることから、可能な限り毀損部分に限定し、毀損部分の補修工事が可能な最低限度を施工単位とすること」となっています。

借主に対して原状回復費用義務がある場合の修繕工事費用の負担も、最低限可能な施工単位に基づく費用相当分が負担対象となります。

これは例えば、クロス(壁紙)の一部を故意または過失で損耗させてしまった場合は、その一部の張替え費用を負担するということであって、壁全体の張替え費用を負担する義務はないということです。これは床などの場合でも同じです。

しかし、毀損部分と補修箇所に大きく差が出る場合、「原状回復による賃貸人回復による利得及び賃借人の負担を勘案し、当事者間で不公平とならないようにすべきである。」とも定められています。

具体的に言えば、畳は汚した部分1枚あたりを単位とします。カーペットやフロアクッションは一部だけ切り取れませんので居室全体となります。クロス(壁紙)は最低u単位ですが、色あわせを行う必要がある場合は居室全体を負担することになります。フローリングは平米単位が基本です。ただし、複数箇所に損傷がある場合は居室全体の張替え費用が必要となることもあります。

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